寮生活でのパストラル・ケア
すべての学生が積極的に学校生活を楽しめるような支援をパストラル・ケアと呼び、多くのボーディングスクールで重視されています。語源はpastor(牧師)によるcare(監督)からきており、「牧師が信者に対して接するように、教師が生徒の勉強、生活、人格面について行う教育」という意味があります。
伝統的なボーディングスクールではマナーや礼儀を徹底して学びます。マナーを守る、というのは、行動に制限をかけるのではなく、お互いを尊重した行動と発言によって、ともに生きてゆく仲間を認め合うことです。それは、TPOに応じて意見を述べたり、他者の言葉に耳を傾けたり、必要とされるときに誰かを助ける用意ができている、ということです。さらに礼儀正しさは、学生のひとりひとりがお互いに才能を発揮する機会の中で共感力を育み、褒めあい認めあうカルチャーを醸成し、コミュニティに安心と連帯をもたらします。
ボーディングスクールにおけるパストラル・ケアは、学問のためではなく「長い人生の準備を行う教育」です。それは心身の健康と成長を支え、ウェルビーイングを高め、主体性や自己肯定感を育みます。心身の健康は、翻って学力の向上にも大きな効果をもたらします。